さらなりん雑記

文房具と和楽器バンドと打首獄門同好会と日記と…。

文房具沼の住人 第72話 時を超えて来たもの

お元気ですか?

文房具沼のさらなりんです。

今回はいつもとちがう感じでお送りします…。

 

今年は仮面のお兄さんに「断捨離」と言われいますが、気が付けば年末まであとわずか。

断捨離は中々、難しいものですね。

 

今までサボっていた分の付けが来ております。

 

自分の断捨離ができないなら、他人のものならどうだ?と思い、祖母の棚を片付け始めました。

意外に、他人のものというのはサクサク進められたりしますね。

この日も2時間ほどで、紙袋1つの本とゴミ袋1つをまとめました。

 

祖母はすでに10年以上前に他界しております。

しかし、祖母はかなり強い人でしたので存在感がすごく、亡くなった後も私物のほとんどを誰も手を付けない状態が続いていました。

 

ここは孫である私がやるしかないかぁ~と思いつつも、中々、片付ける気持ちになるには時間を有しました。

 

仮面のお兄さんに「断捨離」と言われているから、と仏壇に手を合わせ、ありがとう、いろいろと大変だったね、そう思いながら片付けと言いつつ、その私物を処分することにわずかな罪悪感や申し訳なさや懐かしい思い出にとらわれました。

 

その棚の中に一冊のノートがありました。

名前がありましたので付せんで隠しました。

天下のKOKUYO様のノートではありませんか!

しかも、その付せんの下には、祖父の名前がありました。

 

祖父はさらなりんが小さい頃に亡くなっています。

campusノートは1975年に誕生というので、恐らくそれ以前のものではないかと思われます。

何故なら、中に昭和44年という文字を見つけたからです。

 

さらなりんは文房具をこよなく愛しています。

古いノートに色めき立ち、当時はどんなノートだったのだろうとわくわくしながらページを捲りました。

 

祖父はさらなりんが幼い頃に亡くなっていますから、文字を書いているところを見たことがありません。見たのかもしれませんが、記憶にありません。

 

こんな文字を書く人だったんだ!

新鮮な驚きにこれは一人で見るものじゃないと、父に見せに行きました。

 

気軽に「見てみてー!おじいちゃんの字!」と手渡したところ、父は暫くそのノートをじっと見つめていました。

 

表紙をめくり、ページをめくり…。

呟きます。

 

「書いた文字を見せることは、決してしない人だった…」

 

いつも冷静な父なので感情的になることはありませんでしたが、それでもさらなりんは言葉を失くしました。

 

祖父は古い人間だったことは覚えています。

大正生まれの、昔ながらの人です。

自分の文字に何らかのコンプレックスがあったのかもしれません。

それは息子には見られたくないものだったのでしょう。

 

実際にノートに書いてある文字は美しいとは言えませんが、どちらかと言えば神経質な繊細な女性のような文字でした。もしかすると、それが嫌だったのかもしれません。

今となっては分かりませんが。

 

ノートは父に渡しました。

父の胸にどのような思いが去来したか分かりません。

時を超えて来たもの。

少しでも暖かいものであったなら、と願わずにはおれません。

 

あと、よろしければ、おじいちゃん。

あの世で再会したときに、さらなりんを怒らないでください。

 

ちなみに気になるノートの中身は…。

当時、祖父が働いていた仕事に関することでした。

掲載は勘弁ください。